トピックス
■第1回オープンキャンパス(6/23(土))参加申込受付中!
車内講義
5時間目「光源氏はよく泣いた!」服藤早苗教授
光源氏をはじめ『源氏物語』に登場する男たちは、よく泣きます。実は、武士も含め、前近代社会のいい男はよく泣きました。泣く男がいい男だったのです。最近は、テレビで男が泣くシーンをよく目にするようになりましたが、これまで男が人前で泣くことは恥とされているようです。いつから男は人前で泣けなくなったのでしょうか。女と男の歴史を学ぶと、目からウロコ! 自分らしさが一番大切なことがわかります。
「このごろの男は、結婚相手を探すとき、『父母は健在か、住まいはあるか、洗濯や、針仕事はできるか、お供に禄の物をくれるか、馬や牛は飼っているか』と聞く」と書いているのは、『源氏物語』より少し前にできた『宇津保物語』です。今風にアレンジすれば、「両親がそろっていて、豪邸をもっていて、日常生活も快適で、高級外車を持っているか」、となります。「え! 男がそんな事を聞くの?」、そうです、当時は、婿取り婚だったのです。男が女の家に婿とられ、女の両親や姉妹と一緒に暮らすのです。だから、妻にする女性の顔や身分よりも、両親の経済力がものをいったのです。磯野家(サザエさん)の「マスオさん」が普通だったのです。
ただ、妻も夫の帰りをじっと黙って待っているだけでは失格です。なぜなら、光源氏たち貴族層は、一夫多妻、つまり他にも妻がいたのです。顔はあばただらけで、身分も低い妻だったが、夫が帰る頃になるとあかあかと火を灯し布団を暖め、夫はもちろん夫の従者たちに季節にあった衣装を調え、財産管理もばっちりだったので、身分の高い美人の妻を見限り、そちらの妻に入りびたりだった実在の貴族がいます。女は、容貌よりも、教養や、能力でした。それを器量といいました。本来の「器量よし」とは、能力のある男女の事だったのです。
十六世紀に日本にやってきたポルトガルの宣教師ルイス・フロイスは、「ヨーロッパでは、通常、女性が食事をつくる。日本では、それを男性がつくる。そして貴人は、料理をつくるために厨房に行くことを立派なこととみなしている」、と記しています(『日欧文化比較』)。中世の絵巻物には、男性が料理を作っている絵が多く出てきます。とりわけ、魚や鳥の調理は男性が主として調理しました。江戸時代の武士の必修科目である教養の一つに、「包丁」があります。江戸時代の武士は調理ができないと立派な武士ではなかったのです。
では、いつから男たちは、「男は厨房に入るべからず」「男は人前で泣くな」などの「男らしさ」が要求され、人々に浸透したのでしょうか。それは、近代の徴兵制と教育です。軍事教育では、「男は泣くな」と教えられました。町で暮らす家族は、男は外で働き、女は家事と育児を分担するように教育されました。今の「女らしさ」「男らしさ」は、近代になってからの要素が大きいのです。
「なでしこジャッパン」のサッカー選手達、レスリング選手の女性たち、男女のスポーツ概念をくつがえしてくれました。歴史を学ぶと、「女(男)らしさ」が変化することが一目瞭然! 歴史により男女の関係が変わるのです。女、男ではなく、自分らしさです。
◆プロフィール
服藤早苗
人間学部 人間文化学科 教授 学部長
指導モットー
「学びは自分を大切にする」
【主要担当科目】
ジェンダー学、日本史特論(近代以前)
【主な経歴】
お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程修了、文学博士
【主な活動】
NHK教育テレビ歴史で見る日本、NHK総合テレビ歴史秘話ヒストリア等多数出演
比較家族史学会副会長、理事歴任、社会教育等で講演多数
【主な著書】
『平安朝の母と子』『平安朝の女と男』『平安朝の父と子』以上中公新書、『平安朝 女の生き方』小学館、『源氏物語の時代を生きた女性たち』NHK出版、『家成立史の研究』『平安王朝社会のジェンダー』以上校倉書房、『平安朝 女性のライフサイクル』『平安朝の子どもたち』以上吉川弘文館、その他単著、編著、監修等多数。
NHK総合テレビ『歴史秘話ヒストリア』2011/12/7(水)22:00〜 出演予定
車内講義
4時限目「子どもの造形表現に学ぶ」森本昭宏准教授
花や太陽など身近なものに顔を描くアニミズム。顔に手・足が生える頭足人。これらは、幼児期の発達段階に見られる造形表現です。5,6歳頃になると、地面のような基底線が現れ、人や植物、建物が垂直に立ち、重力を無意識に表現します。創造力や五感を働かせる造形表現は、日常の見えないものをも表していくのです。子どもの目線になってそれらを深く見つめると、そこに込められた強い生命力を感じ取ることができるでしょう。
写真1 《3歳男の子》
丸い円(顔)の中から手と足だけが生えた人間を「頭足人」といいます。次に胴体が出てきますが、最後に現れるのは首でしょうか?(3,4歳ころ)
写真2 《6歳女の子》
人間以外のものにも生命が宿っているとして顔を描く「アニミズム」表現。
太陽と雲が笑っています(4〜6歳ころ)
“ちていのおうち”と題した空想画。
写真3 《6歳女の子》
「俯瞰図」又は「展開図」描法。人が転地逆になっていますが、上から見下ろす(俯瞰)とこのように見えるのでしょう。または箱をパタンと上下左右に展開したように描くこともあります。(4歳から8歳ころ)
写真4 《5歳女の子》
夏の夜、バスに乗って遠足から帰る絵です。バスの中が透けて見えるように人を描いています。これを「レントゲン」描法といいます。(4歳から8歳ころ)
写真5 《アルゼンチン6歳男の子》
「基底線」が5歳ごろから現れます。6歳になると複雑な形も描きます。木々も垂直に、太陽は上にと、重力が徐々に認識されていきます。
身近なものに感動し喜びを表現する子どもの造形活動は、エネルギーに満ち溢れています。自らの世界を創出していく子どもの表現は生きる希望に満ち溢れているとも言えるでしょう。子どもの心を読み取り造形表現を理解する。そして、子どもの心に共感し大切に育てていくと(共に育つと)日常の喜びや生命の産声が大人にも聞こえるかもしれません。豊かな感性を保育者も大人も持ち続けたいものです。
◆プロフィール
.森本昭宏
人間学部 子ども発達学科 准教授
指導モットー
「豊かな感性から豊かな表現へ」
【主要担当科目】
保育内容の研究(表現-造形)、保育教材研究(絵画・造形)
【主な経歴】
上越教育大学大学院学校教育研究科芸術系(美術)修士課程修了
武蔵野短期大学講師を経て、埼玉学園大学准教授
【主な活動】
埼玉県認可外保育従事者研修会講師(埼玉県福祉部子育て支援課主催)
国際彫刻シンポジウム招聘・招待参加
〔デンマーク・ホイヤー、イタリア・トリノオリンピック彫刻プロムナード、スペイン・コルドバ、アルゼンチン・ウンキージョ市、ドイツ・チューリンゲン州日本庭園等〕
CAF(コンテンポラリーアートフェスティバル)ネビュラ展彫刻出品(埼玉県立近代美術館) など
車内講義
3時間目「GREENの会計学」吉田雄司教授
地球上の水をお風呂1杯=約200Lとすると実際に使用できるのは、ペットボトルのふた3杯分=約20cc程です。こうした環境問題を会計の視点から見る学問が環境会計です。企業等が環境保全のためにどれだけのおカネを費やし、それによって環境負荷や経費がどれくらい削減できたかを測る仕組みです。企業や自治体では『環境報告書』の中でこの環境会計の情報を開示しています。
環境会計は、企業が環境保全の目的で支出した環境投資・費用とその効果を定量的に測定する仕組みです。つまり企業が環境を守るために出したおカネとその見返りを数字で表したものです。環境会計の情報は企業の内部と外部で利用できます。企業の内部では経営管理のツールとして機能します。これは環境管理会計という学問で研究されています。一方、企業の外部利害関係者に対しては環境に対する説明責任を遂行することになります。ここでは後者の環境会計についてお話します。
環境会計の構成要素は、(1)環境保全コスト、(2)物量効果、(3)経済効果で形成されています。(1)環境保全コストとは、企業が生産活動を行うのに環境へ負荷がかからないように防止するコスト等です。例えば、工場の公害防止設備を設置するのに必要な投資・費用等です。また地球温暖化を防止するためのソーラーパネル施設にかかるおカネです。いずれも貨幣単位(円)で表示されます。
次に(2)物量効果をみましょう。(1)の環境保全コストの支出によってどれだけ効果を出しているかを測定するものです。先の例でいえば工場の公害防止設備によって硫黄酸化物や窒素酸化物等の排出量を削減できた場合、その削減分が物量効果となります。またソーラーパネルの設置による二酸化炭素排出量を削減できればその削減分が物量効果になります。単位は物量単位、即ちLやt/CO2等で測定されます。
そして(3)経済効果です。これは企業が環境保全対策を進めたことで企業の利益に貢献した効果になります。測定単位は、貨幣金額(円)です。例えば、ソーラーパネル等により燃料費の節減が可能になった場合、その削減額です。またリサイクル品や廃棄物を売却して入手できたおカネがここでいう経済効果になります。このように環境会計では、環境保全コストとその効果である物量面と経済面で測定することになります。
最後に環境会計の台頭について述べます。企業が環境問題を意識する背景には、従来からの人間中心主義や一神教による世界観に限界が出てきたからです。人間が自然を管理するのではなく自然と共生する社会が必要とされてきたのです。環境会計は日本のような自然に対し畏敬の念をもつ自然崇拝主義や多神教の世界観に最適な学問といえます。つまり価値の多様性こそが私たちの環境問題を解決する一つの道なのです。
◆プロフィール
吉田雄司
経営学部 会計学科 教授
指導モットー
「多様性が豊かな社会を創る」
【主要担当科目】
環境会計論
【主な経歴】
法政大学大学院社会科学研究科経営学専攻博士課程満期退学
法政大学経営学部、東京国際大学商学部非常勤講師を経て、埼玉学園大学教授
【主な論文】
「企業の収益性と環境保全コストの関係―電力業,鉄鋼業,総合電機のケース」日本社会関連会計学会『社会関連会計研究』第22号、2010年、99−109頁。
「生物多様性の企業文化と環境会計」『會計』第177巻第6号、森山書店、2010年6月号、60−73頁。
「文化的相異性による環境会計のアカウンタビリティ概念」『會計』第174巻第2号、森山書店、2008年8月号、97−107頁。
車内講義
2時間目「スリルの心理学」古澤照幸教授
ベースジャンピングという言葉をご存知ですか?これは、超高層ビルや山の崖などから飛び降りるスポーツです。50階建の超高層ビルならおよそ150メートルの高さです。パラシュートを装備してのジャンプですが、危険なスポーツです。スリルを求めてジャンプをするのでしょうか。これほどの危険はないですが、ジェットコースターもスリルを求めて楽しみますね。スリルを求める人には何かよいことがあるのでしょうか。スリルを求めるスリル人を解き明かします。
スリル人は、スリルを求めるだけではありません。あらゆる刺激を求めます。これを刺激欲求といいます。男子学生のA君は、週に1回は激辛ラーメンを食べます。A君、お腹が弱いのです。食べるたびにお腹をこわします。それでもA君は食べ続けます。アニメ好きのB君、新しいアニメが出るたびに買い求めます。おかげで財布の中身は空っぽです。会社員のCさん、退社時刻になると赤ちょうちん(お酒や食事を提供する店)に行きたくてうずうずします。ほぼ毎日同僚と出かけます。A君、B君、Cさんたちの原動力はどこにあるのでしょうか。これが刺激欲求なのです。強い刺激、新しい刺激を求めると脳は気持ちよくなります。脳内に快適になる物質(神経伝達物質)が分泌されるのです。ヒヤッとする危険を体験したときにもこの現象は起こるのです。
スリル人は、スリルだけではなくあらゆる刺激を求めます。ウインドウショッピング好きなDさん、商品をみているだけでは飽き足らずに、つい買ってしまいます。買うとすっきりします。それでまた買います。満足します。また買うのです。そして後悔します。この繰り返しでカードのローン金額が増えてしまいました。でもやめられないのです。これをショッピング・アディクトといいます。つまり、買い物依存症です。お酒の場合だとアルコール依存症ということになります。スリル人は刺激を求め続けているうちに依存症になることがあるのです。
お酒好きなCさん、「今日も元気だ。お酒がうまい」と言っています。毎日お酒を飲むのは身体に悪いはずなのに、Cさんはとても健康です。スリル人は、タバコを吸う人も多いのです。それでも比較的健康で元気です。身体に悪いことをしているのに健康なスリル人は多いのです。 高齢者のEさんは自動車運転が好きです。複雑な道路状況でもスイスイ運転します。同じような年齢の人と比べて、とても上手な運転です。実は、Eさん、刺激欲求の強いスリル人です。スリル人はとても複雑でストレスの強い道路状況でも上手に運転ができるのです。Fさんは消防士です。とても危険な火事現場でも迅速に消火作業を行います。その手さばきは見事です。Fさんもスリル人です。
スリル人は依存の危険性もありますが、比較的健康であること、ストレスのかかる状況でもうまく対処できるというよい面もあります。このよい面がなぜ起こるかというと、「ストレス緩衝効果(かんしょうこうか)」といい、刺激を求める傾向にある人が自然にストレスの影響を弱めているからだと考えられます。これにも理由がいくつか考えられます。不思議に思うかもしれませんが、スリル人は不安も低い傾向にあります。つまり、あまり不安を感じないのです。なぜなのでしょうか。この点も含め続きはオープン・キャンパスでお話ししたいと思います。
◆プロフィール
古澤照幸 博士(心理学)
人間学部 人間文化学科 教授
指導モットー
「経験しよう。追い求めよう。学習しよう。」
【主要担当科目】
欲求・行動心理学
【主な経歴】
東京都立大学大学院人文科学研究科満期退学
財団法人電気通信製作総合研究所、産業能率大学を経て、埼玉学園大学教授
【主な著書】
『刺激欲求特性が社会行動に及ぼす影響』 同友館
『ニセ心理学者にだまされるな』 同友館
近刊 『人事のための心理アセスメント』(共編著) 日本文化化学社
日本テレビ『サタディバリューフィーバー』などに出演
車内講義
1時間目「赤の女王の経営学」西山賢一教授
ルイス・キャロルの名作『鏡の国のアリス』のなかで、赤の女王がアリスに向かって、「同じところにいようと思ったら、全速力で走りなさい」といっています。ここに進化の核心があると生物学者は考えて、「赤の女王仮説」を提案しました。同じところで、これからもしっかりと存続していくためには、変わり続けなくてはならないというのです。ビジネスの世界も地域社会も生きものなので、どんどん変化しつづけることで、激動する環境のなかでたくましく生き延びようと工夫しなくてはなりません。
私たちがこれからも存続していためには、全速力で走らなくてはならないのでした。それでは、どこに向かって走ればよいのでしょうか。ここでも生物学が手がかりを与えてくれます。なにしろ生物たちは人間よりも、はるかに長くて困難な時期を生き延びてきたので、経営についてもたくさんのヒントを与えてくれるのです。
生物は「すみわけと協調」を工夫して生き延びてきました。生活の場(ニッチといいます)がなるべく重ならないように、生物たちは工夫します。生活する空間が重ならないようにし、重なるなら活動する時間を重ならないようにし、それでも重なるなら、食べるえさが重ならないようにします。ニッチが重ならないように工夫すると、おたがいに競争しなくてすむだけでなくて、協調することも可能になります。まったく同じことをやっている相手とは、競争して勝つか負けるかしかありませんね。
SMAPが『世界にひとつだけの花』(作詞作曲・槇原敬之)のなかで、「ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン」と歌っています。生物は「すみわけ原理」に基づいて、みんなオンリーワンを目指しているのです。
さらに人間には、他の生物にない大きな可能性があります。他の生物と違って私たちは、与えられた自然のなかで生活する場を見つけるだけでなくて、自然にないような仮想の空間や、いま・ここだけでない過去や未来の時間を創造し、食べ物だけでなくてさまざまな楽しみや生き甲斐を生み出していくことができます。だからニッチは無限に生まれてくるのです。すべてのひとがオンリーワンを目指しても、まだまだ余裕があります。金子みすゞの「みんなちがって、みんないい」という世界ともつながっていますね。
21世紀は「専門職の時代」になっていきます。これまではホワイトカラーとブルーカラーだったり、頭脳労働と肉体労働だったりしましたが、これからはみんなが頭脳と肉体を使う専門職になっていくのです。何らかの専門分野や専門の資格を持ったうえで、協調して仕事をしていく時代です。
自分の得意な分野を見つけ出して、専門職への道を選び、学習と経験を積みながらオンリーワンを目指します。ここには、努力するにしたがって、その成果がねずみ算式に増える、という「収穫逓増の原理」が貫かれていて、学習と経験を積むほど、その分野で「一人勝ち」することができます。
多くのひとたちがひとつの分野で競争していると、少数の勝者と多数の敗者が生まれてきますが、専門職の時代ではすべてのひとが、自分自身のニッチで一人勝ちできるのです。オンリーワンというと、負け惜しみの消極的な生き方のように思うひともいるかもしれませんが、そんなことはありません。自らが選んだ分野で一人勝ちする積極的な生き方なのです。専門職の時代とは、みんなが自分のニッチで一人勝ちをして、自信を持ち、たくましくなったうえで、協調していく時代なのです。
そのために積極的に、しかも楽しんで学習していくことが大切です。このつづきを埼玉学園大学で学んでみませんか。
◆プロフィール
西山賢一(理学博士)
埼玉学園大学 経営学部経営学科長
指導モット−「深い感動体験が世界を変え私を変える」
【主要担当科目】
環境経営論
【主な経歴】
京都大学大学院理学研究科博士課程修了
九州大学理学部助手、東京大学薬学部専任講師、国際大学教授、埼玉大学経済学部教授
【主な著書】
『企業の適応戦略』中公新書、『免疫ネットワークの時代 −複雑系で読む現代』NHKブックス、
『文化生態学の世界 −文化を持った生物としての私たち』批評社、『左右学への招待』知恵の森文庫
NHK総合「爆笑問題のニッポンの教養」、日本テレビ「DON!日本一受けたい授業」ほか、メディアに多数出演。